轻松读懂日语经典作品
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やまのかなたは
山の彼方は
宮本 百合子
常識とはどういうものだろう
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,798 字 · 14 页
人の心のあわれ深い趣は、いかばかりかこの朝の有様にこめられている。それだのに枕草子の作者は、当時の風雅の瑣末に敏感な官女らしさで自分を中心に描き出しているのはいわば品さがっていて何だかくちおしい。もし彼女がもう一皮真から常識をぬけていたらば、この朝のおとなしくやさしい人間の愛着の姿がもっとまざまざと描かれたであろう。そして、読者の肺腑を貫いたであろう。
私たちにこれだけの思いを抱かせるのも、つまりは帝と中宮の絆が、軽薄な当時の常識から溢れ出ているからではないだろうか。権勢につき、それに媚びて情愛を移らせることが怪しまれなかったその頃の殿上の気風のままに、帝の情が浅いものであったなら、今日私たち女の読者が清少納言に、彼女の才気でも書ききれなかった人生の局面があの一巻の中にちらついているなどとはいわなかったであろうと思う。
こうしてみると、常識というものはあるところからあるところへまで行くのに、ここを通れば間違いないという、一本の踏みならされた道のようだと思われる。
イギリスの作家キプリングに有名な「ジャングル・ブック」という作品がある。動物の世界の物語であるが、この短篇集の中に若い雄の白海豹ルカンノンの物語がある。