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やまのかみさつじん

山の神殺人

坂口 安吾

「講談倶楽部 第五巻第一〇号」1953(昭和28)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,014 字 · 21 页

青空文庫

捜査はやり直しということになったが、被害者の身許は判明したし、証拠の手紙があるから、犯人の所在はきわめて限定されている。ヒサをめぐる男を洗って行けばよい。ところが、ヒサの情夫をしらべてみると、みんなアリバイがある。みんなカツギ屋のことだから、それぞれ当日の所在にはハッキリした証人があげられるのである。

小野刑事は考えた。

「そうだ。男を迎えにだすと書いてある。情夫が迎えにでるわけはないから、迎えにでた男というのは情夫のうちの誰でもない別の人間でなければならぬ」

駅へ行って調べてみると、その前日日光行きの切符を買って翌日戻ってきた人間の居ることが分った。これが兵頭清である。

「そうだ。兵頭なら警察で不二男に対面しているから迎えの使者の役目が果せるわけだ。使者は兵頭ときまったぞ」

小野はコオドリして、兵頭の行方をさがして、平作の馬小屋でお加久と共に祈りをあげているところを捕えたのである。

兵頭が白状したので事件は解決した。このお礼に、平作は十万円を投げだして、お加久のためにお堂を立てることになっていたのである。

平作は捕えられたが、黙秘権を行使して一言も物を云わない。