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いけぶくろのみせ

山之口貘詩文集

山之口 貘

山之口貘『山之口貘詩文集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:池袋の店、沖縄帰郷始末記、おきなわやまとぐち、声をあげて泣く、詩とはなにか、装幀の悩み、つまり詩は亡びる、夏向きの一夜、野宿、暴風への郷愁、私の青年時代、ダルマ船日記、チャンプルー。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 44,477 字 · 93 页

青空文庫

言わば、沖縄製の日本語とでもいうようなものなのであって、言語としては奇型であり、通用性に乏しいものなのである。そのために、日常の言語生活の上でおきなわやまとぐちは、時に悲劇を演じたり、時には世間を戸惑いさせたり、あるいはまた同郷人の間でバカにされたりするわけなのである。

こどものころ、こんな話を聞いたことがある。沖縄のある家で、勉学のために息子を東京へ出したが、息子から電報が来た。「クビキルカネオクレ」とあるので、大騒ぎとなった。しかし、カネオクレとある。自殺をするにしてはカネオクレが納得のいかないことなので「ナゼクビキルスヘン」との問い合わせをしたところ「クロシロニスルスグカネオクレ」との返電が来て、はじめて息子の真意が読めたとのことである。というのは、息子の首のつけ根には生れながらにして黒いあざがあったとのこと、それを東京の医師の手術を受けてなおすための金の請求だったとの話なのである。こんな話も、おきなわやまとぐちに結びついたものなので、ぼくなどにとっては他人事ではないわけなのである。

沖縄方言にふうるというのがある。便所のことである。ふうるはもともと屋外の屋敷の一隅にあるのが普通なのであったが、そこは家のうしろの方にあたるので、別名をやあぬくしとも言うのである。