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おかくらせんせいのおもいで
岡倉先生の思い出
和辻 哲郎
「帝国大学新聞」1936(昭和11)年1月27日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,873 字 · 4 页
先生がインドにおいてどういうふうに独立を鼓吹したか、あるいは美術院の画家たちにどういうふうに霊感を与えたか、さらにまた五浦の漁師たちをどういうふうに煽動して新式の網を作らせたか。それらのことについては自分は何も知らない。しかし先生が最もよき意味において「煽動家」であったということは右の印象からも推測せられるであろう。
先生が明治初年の排仏毀釈の時代にいかに多くの傑作が焼かれあるいは二束三文に外国に売り払われたかを述べ立てた時などには、実際我々の若い血は沸き立ち、名状し難い公憤を感じたものである。が、あの煽動は決して策略的な煽動ではなかった。我々のうちの眠れるものを醒まし我々のうちのよきものを引き出すのが、煽動の本質であった。
これらの回想にふけるとき、岡倉先生の仕事が再び広く読まれることは、心から願わしいことに思われる。