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いわなみぶんころん
岩波文庫論
岩波 茂雄
「東京帝国大学新聞」1938(昭和13)年9月19日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,581 字 · 6 页
往年外遊の際、レクラム会社を見学してその事業的規模の大なるには驚いたが、編集態度においては岩波文庫が、その先蹤たるレクラム文庫を恥ずかしむるものでないと、ひそかに慰むるところがあった。
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今日世界の現状は政治、経済、思想各方面とも渾沌として帰向するところをしらない。平和は万人の望むところであるにもかかわらず、世界の至るところで闘争が行なわれている。正義人道は常に叫ばれても、われわれの良心を満足さすべき事実は至って乏しい。わが国において紙の統制、節約が行なわれているに、パルプの輸出国たるカナダにおいてはその処分に困ってこれを焚物にしているという話さえもきく。この際世界各国人の必要とすることは、事物の根本に対する反省を新たにし、その認識を深くして、永遠の理想に向かって心を向けることである。われわれは新興国民として古今東西に通ずる大原理に立って世界に躍進するゆえんの道を考えねばならぬ。不朽の典籍に親しんでその良心と理性を満足せしむることは大国民としての根本的教養であらねばならぬ。日本の現代文化はあまりに急速に発展せしため、その根底において堅実を欠く憾みがある。