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いわたとよおとわたし
岩田豊雄と私
岸田 国士
「文学座第五十六回公演・あかんぼ頌 パンフレット」1953(昭和28)年12月2日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,358 字 · 3 页
岩田がパリで何をしていたか、私は、正確にも、詳しくも知らない。
ただ、芝居という芝居はピンからキリまで観て歩いたらしいことは、二人が会つて話をするたびにだんだんわかつてきた。たいてい、同じ頃、同じような芝居を観ていたことはたしかだ。
おそらく、ヨーロッパの芝居を専門に研究しようとするものでなければ見落しそうな種類の芝居は、みんな観ているので、私は非常に心強く思つた。ただそればかりではない。私がその中でも重要だと思うものを、彼もまた重要なもののなかに数え、その真価と精神とを見事につかんでいるのを知つて、これ以上信頼すべき同志はないと思つた。
新劇協会の運動は、様々な事情で長くは続かなかつたが、最初菊池の手を離れ、ついでプリマドンナ伊沢蘭奢が病死するに及んで、協会は解散したけれども、私と岩田は、関口と語らつて、その研究所だけを承け継ぐことにした。
岩田は戯曲の翻訳と演出のほかに、戯曲を二篇書いている。その一つ「東は東」などは、発表当時正宗白鳥から絶讃を浴びた。なにを感じてか、それきり劇作の筆を絶ち、専ら小説を書いているけれども、彼は、「自由学校」や「やつさもつさ」