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いわたとよおとわたし
岩田豊雄と私
岸田 国士
「文学座第五十六回公演・あかんぼ頌 パンフレット」1953(昭和28)年12月2日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,358 字 · 3 页
のような戯曲ならいくらでも書けると思つているに違いない。それをなぜ書かないのか、誰かひとつ訊いてみるといい。
つい二、三日前、北軽井沢から小田原へ帰る途中、私は東京駅のプラットフォームで、ひよつこり彼に出遇つた。「稽古の帰りだ」といつて、やや得意そうに笑つてみせた。私を羨ましがらせるつもりらしい。その証拠に、そのあとで、「やつぱり演出は楽しみだよ」とつけ加えた。
なるほど、彼の演出こそは、他の誰れ彼れが「戯曲」を「書く」ことをも含めた、一層複雑微妙な精神と肉体との活動を意味するのかも知れない。
序に云うが、芝居のプログラムなどで、しばしば岸田國士を岩田國士とやられているが、ごく近い間柄であるだけに、この誤植はちよつと困る。それにしても、岸田豊雄とは頼んでもしてくれそうにない。けだし「岩」さへあれば「岸」はなくとも用は足りるというわけであろうか。