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くずれるおにかげ
崩れる鬼影
海野 十三
「科学の日本」博文館、1933(昭和8)年7月~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,100 字 · 69 页
私は一刻も早く、兄の身体を医者に見せなければならないと気がつきました。
私は気が俄かにシッカリ引き締まるのを覚えました。
「日本の少年じゃないか」私は泪をふるい落としました。「非常の時に泣いていてたまるものか。なにくそッ――」
私はヌックと立ち上ると、お臍に有ったけの力を入れました。
「ウーン」
すると不思議不思議。気がスーゥと落付いてきました。鬼でも悪魔でも来るものならやってこい――という気になりました。
私は兄のために、さしあたり医者を迎えねばならないと思いました。この家のうちには電話があるのではないかと思ったので、兄の身体はそのままとし、階下へ降りてみました。階段の下に果して電話機がこっちを覗いていましたので、私は嬉しくなって飛びついてゆきました。だが電話をかけようとして、私はハタと行き詰ってしまいました。どこのお医者様がいいのだか判らないのです。そのとき不図気がついたのは所轄の小田原警察署のことです。
(まず警察へこの椿事を報告し、救いを求めよう。それがいい!)
警察の電話番号は、電話帳の第一頁にありました。私は自動式の電話機のダイヤルを廻しました。