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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

11 大火以前の雷門附近

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,179 字 · 3 页

青空文庫

私の十四歳の暮、すなわち慶応元年丑年の十二月十四日の夜の四ツ時(午後十時)浅草三軒町から出火して浅草一円を烏有に帰してしまいました。浅草始まっての大火で雷門もこの時に焼けてしまったのです。此所で話が前置きをして置いた浅草大火の件となるのですが、その前になお少し火事以前の雷門を中心としたその周囲の町並み、あるいは古舗、またはその頃の名物といったようなものを概略と話して置きます。つまり、火事で焼けてしまっては何も残らないことになりますから――

まず雷門を起点にして、現今の浅草橋(浅草御門といった)に向って南に取って行くと、最初が並木(並木裏町が材木町)それから駒形、諏訪町、黒船町、それに接近して三好町という順序、これをさらに南へ越すと、蔵前の八幡町、森田町、片町、須賀町(その頃は天王寺ともいった)、茅町、代地、左衛門河岸(左衛門河岸の右を石切河岸という。名人是真翁の住居があった)、浅草御門という順序となる。観音堂から此所までは十八町の道程です。

観音堂から堂へ向って右手の方は、馬道、それから田町、田町を突き当ると日本堤の吉原土手となる。雷門に向って右が吾妻橋、橋と門との間が花川戸、花川戸を通り抜けると山の宿で、それから山谷、例の山谷堀のある所です。