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ひらがなのせつ

平仮名の説

清水 卯三郎

「明六雜誌 第七號」明六社、1874(明治7)年5月17日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,222 字 · 5 页

青空文庫

清水〈(しみづ、きよみづ、せいすい)〉、神戸〈(かうべ、かんべ、かんど、ごうど)〉のごとき、一語数訓あり。新に字書を作ると云うといえども、いずれの訓か取て充つべきを知らず。かつ今日のごとく音語、新字陸続更出するときは、多年の苦学にあらざれば通常の書も読むこと能わず。しからばすなわち和漢雑用もまた、教化訓導のほか日用便利の器にあらず。また洋字に改むるものは、なお米飯をもって麺包に代え、味噌をもって酥酪に代るがごとし。その滋養は勝るるといえども、現にその不便を観る。しかれども、別に新字を作るものに勝るることあり。

けだしそれ、文字・文章は声音の記号、言語の形状にして、古今を観、彼此を通じ、約諾を記し、芸術を弘むる、日用備忘の一大器なり。まことに言語と異なるべからず。いやしくも言語と異なるときは、これを読んで喜怒愛楽の情、感動することなし。喜怒愛楽の情、感動することなきときは、教化、訓導の意を失す。かの田舎源氏、自来也物語、膝栗毛、八笑人、義太夫本、浄瑠理本のごとき、婦女童子もこれを読んでよく感動し、あるいは笑い、あるいは哀むもの、まことに言語・文章の相同きゆえんなり。