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へいわうんどうとぶんがくしゃ

平和運動と文学者

宮本 百合子

一九四八年十二月二十五日、新日本文学会主催「文芸講演会」における講演

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,987 字 · 29 页

青空文庫

、「個」というものを確立させて、それからより社会的にひろい人民的な民主主義に発展させてゆくべきものだというふうに、自我の確立が、個人主義的なブルジョア的な立場で主張されました。それも一九四五年の秋から四六年のはじめぐらいまでの期間には、ある発端的な意味があったかもしれません。なぜなら、そういう発言そのものが、戦争にかりたてられた日本の人民がどんなに基本的人権を失っているかということの証拠でありましたから。しかしそれから後、日本における民主主義革命は人民的民主主義へ急速にすすむ歴史的本質をもっていることが明瞭にみんなにわかってから、ブルジョア民主主義の立場に立って確立されていた筈の「自我」の現実の姿はどのようにあらわれたか。非常におもしろい例がでてきました。

皆さん新聞で御承知のことと思いますが、部落解放運動の長老として有名な代議士の松本治一郎氏が開院式のとき天皇に拝閲することを拒絶して問題になりました。なぜ松本氏が拒絶したかといえば「蟹の横這い」が厭だったというのです。天皇がまっすぐに向っているのに、同じ人間の議員は体を横にして横這い歩きをして出たり入ったりする。