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あきばしょから
平野零児随想集 らいちゃん
平野 零児
平野零児『平野零児随想集 らいちゃん』。同一底本的分册已合并为一书。收入:秋場所から、寡作流行作家、芸術は短く貧乏は長し、丹波篠山、百まで踊る下中翁、無情な今年の二月、雪解けにすべった丁玲女史、吉川さんの声と眼。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,838 字 · 48 页
とあきらめていたら、昭和三十一年の春、梢風さんは、平和擁護委員会の代表として招かれ、ソ連へ行き、ヨーロッパをまわり、印度を経て、帰途新中国へも立ち寄るとの報を、新聞記事で知った。
相手は平和の使節だし、私は戦犯の捕われの身だから、たとえ梢風さんが中国へ来たとしても、しょせんは会えなかろうと、一応はあきらめてはいたが、深い友情というものは、不可能を可能とすることもあるかも知れないと、ひそかに思っても見たりしていたら、果然それがかなえられ現実となった。
その年の春の日曜日の朝、太原の戦犯管理所長室へ呼び出された私の前に、梢風さんが立っていた。
すばらしく仕立てのよい、ダブルの洋服に、カメラを肩にかけて、少しグレーがかってはいたが、十数年前よりはむしろ若々しい美しいほう(蓬)髪の梢風さんだった。
北京へ着くと、何よりも先に中共の要人に、私の動静を聞き、一行から離れて単独で、私を太原までたずねてくれたのであった。梢風さんは革命前から人民委員の郭沫若と親しかったので、彼に事情を訴えたら、特に飛行機を用意し、戦犯の私への面会を許可するよう、指令を出してくれたのだということであった。