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へいまとうぐいす

平馬と鶯

林 不忘

「少年倶楽部」1927(昭和2年)2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,130 字 · 21 页

青空文庫

そして、ホウホケキョと鳴くうぐいすの声と、それよりもっと朗かで優しい少女の微笑とに送られて、平馬は往来へ出た。

自分の背丈もあろうかという大刀を横たえた平馬の姿が、春霞にかすむ野道を結城の町の方へたどって行く。それが点となって消えてしまうまで、少女は門に立って見送っていた。

その向うに、筑波の山が胸から上を雲にあらわして、あるかなしかの風に、紅梅の花びらが少女の上に散った。

うぐいすの便

それから二日ばかり大雨だったが、その雨のはれた朝のことだった。鶯の宿の少女が、縁に出て、陽の照る庭に立ちのぼる水気を嗅ぎながらいつものように、籠のなかの鶯に戯れていると、その朝にかぎって、どうも鶯のようすがへんだった。なんとなくそわそわしている。と思ってよく見ているうちに、どこか遠くでほかのうぐいすの声がした。ホウホケキョというその啼き声は、はじめはかなり遠くの方でしていたが、それがだんだん近づいてきて、今度はどこか家の近くで大きくはっきりと啼くのが聞えた。すると少女の鶯も友達が来たのを喜ぷように盛んに啼きたてた。やがて庭先の梅の小枝に、ほかの鶯の黄ばんだみどり色の姿が見えて.それがしばらく籠のなかのうぐいすとしきりに啼き交わしていたかと思うと、つと羽ばたきをしながら、梅の枝をはなれた鶯が、縁側の籠の前へとんで来た