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へいまとうぐいす

平馬と鶯

林 不忘

「少年倶楽部」1927(昭和2年)2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,130 字 · 21 页

青空文庫

霧が濃くなったとみえて一同の肩が重く湿る。近くの木で、ホウ、ホウと二声、梟が啼いた。

濃霧の夜

「それではそこらまで送って進ぜよう」

いつの間に帰ったものか、集っていた人数の大部分がいなくなって、森に残っていたのは、平馬を取り巻く三人の友達だけだった。それが、月見橋の袂まででも平馬を送って行くということになって、四人、霧の中に提灯をともして、矢筈の森を後にした。

やがて来かかったのが月見橋橋畔。

霧の奥に川の水音が寒々しく流れて、寂寞たる深夜のたたずまい。

と、橋の袂にぽつりと一つ提灯の灯が見えて、何やら黒い人影が――。

近づいて見ると、橋に丸太を打ちつけて、それに紙が貼ってある。

橋の中央破損につき通行禁止の事

平馬が提灯をつきつけると、こう読めた。提灯を持って番人が立っている。

「どうしたのだ? 橋の真中がこわれたとあるが――」

平馬たちが番人を返りみると、番人の男は続けさまにおじぎをしながら、

「へい。どうしたものか真中から少し下妻の方へ寄ったところが落ちまして、通れないほどではございませんが、なにぶんこの霧で危のうございますから、いっそ通行を禁じた方がよかろうということになりましたので、へい」