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げんじゅつてんまたろう
幻術天魔太郎
野村 胡堂
在线阅读野村 胡堂《幻術天魔太郎(げんじゅつてんまたろう)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,616 字 · 90 页
「おれはどうでした、ずいぶんうまくやったつもりだが――」
虎吉は、ほめられないのが不足のようです。
「うまかったよ。でも、少しからだが小さくて、青鬼の赤ん坊のようだったよ。おや、まだ額の角なんかつけているのか」
「ヘッ、熊五郎ぐらいの年になりゃ、おれだってノッポになりますよ」
虎吉は負けおしみをいって、みんなに笑われております。
「ところで、お筆をいつまでも江戸へおくわけにはゆくまい。虎吉は丹沢山のみんなのいるところまで、送ってやってくれないか」
「お安いご用だが、もう少し江戸であばれさせてくださいよ。精いっぱい働きますよ」
増田屋の火の車さわぎがおもしろかったので、こればかりは天魔太郎のいうことをきこうともしません。
「いえ、いいのよ。私には相州厚木生れのしんせつな腰元がありますから、道さえ教えていただけば、それに送ってもらいますから」
出雲のお筆は虎吉の気のすすまないようすを見ると、こういいだすのでした。お筆の腰元というのは、大奥からさがって、このきんじょの叔父さんのところにいる、お兼という十八の娘、その晩のうちに呼んでくると、もとの主人出雲のお筆にあって、手をとりあって泣いてよろこびました。