轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おうまじるしはいしゃく
御馬印拝借
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1944(昭和19)年2月号
N1 · 挑战 · 新字新假名 · 21,483 字 · 43 页
さまも見え、矢弾丸や兵粮の荷駄と思える夥しい馬の列も数えられた、「やつらは恐ろしく大がかりでやって来るな……」砦の人々は笑いながらそう云い囃した、「つまり駿府にありったけの物を持って来て見せるんだろう」「戦さには負けても数では負けないというつもりなんだ」「もの惜しみをしないわけなんだな……」そういうむだ口の裏に、敵がひじょうな兵馬と矢弾丸を集注するのはこの砦を守る自分たちの戦力のすばらしさの反証であるという、誇りと快心の気持があからさまに表われていた。源七郎はしかし違った意味でよろこびをじっと抑えていた。敵がここへ兵馬を多く集めることは願ってもない幸運である、本軍進攻まで敵を牽制するという菩提山占拠の目的は、これでなかば成功したともいえよう、あとはこの敵をひきつけて置けばよいのだ、――ただひとつ矢だまが足りない、どう思案してもそれだけは不足だった。兵たちにもそれが懸念だとみえ、しきりに補給の荷駄の来るのを待ちかねていたが、やがて五人の組がしらが揃って意見を述べに来た、……掛川へ使者をやって頂きたいと云うのである、「敵の攻撃はすぐ始まるかも知れません、糧食はともかく矢だまはぜひ補給を要します、おゆるし下さるなら拙者が掛川へまいりましょう……」