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とくながすなおの「はたらくひとびと」

徳永直の「はたらく人々」

宮本 百合子

「新潮」1939(昭和14)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,860 字 · 4 页

青空文庫

嫁に行くまでだという勤労者の常識にさえ滲みこんでいる考えかたを自分で破って行こうとする。小説はそういう心持にアサが辿りつくまでの経緯、腕のいい職工であるが勝気で古い母に圧せられ勝な良人の山岸との心持の交錯、大変物わかりのよい職長梶井のうごきなどを語って展開されているのである。

深い興味をもって読んだが、この長篇の前半と後半との間で、何かアサの心持の成長を必然として納得させる一貫したものが欠けている、或は書き落されているような印象を与えられたのは私だけであるまいと思う。

後半、工場で自動鋳造機を入れるようになってからのアサの心のありようは、非常にはっきりとしているばかりでなく勤労婦人として、自分の技術に対してあれだけの自覚と熱意をもつ女は、そうざらにあるまいと思うように描かれている。「やはり自分は働こう、働けるだけ働いて自分の技術をたかめよう。経済的にもそうしなければならなかったし、自分が働くことでこの赤ン坊が不幸とは思えまい。そしてそれが、自分を女という古い掟で縛りつけ圧服してしまおうとする凡ゆる古い力に対抗し得るたった一つの道だと思った」女としての感情がここへ来るにはアサが単にお下髪の使い屋から苦労してたたき込んだ腕をもっているというだけが理由ではない生活感情、社会的な感情が土台となって初めて可能なもの