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こころのしらべ

心の調べ

宮城 道雄

宮城道雄『心の調べ』。同一底本的分册已合并为一书。收入:心の調べ、雨夜の駅、音の世界に生きる、垣隣り、声と食物、声と性格、声と人柄、五十年をかえりみて、純粋の声、春雨、耳の日記、昔の盲人と外国の盲人、山の声、私のすきな人、私の若い頃、レコード夜話。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,958 字 · 66 页

青空文庫

私の経験では、発音の綺麗なのは関西に多いと思う。もっとも関西もところや土地によって違うが、京、大阪はアクセントは別として、発音は綺麗なように思う。今の長唄、清元、常磐津その他、元は関西から来て長く江戸に流行って、俗に江戸唄と称せられるものの中に、その道の大家の唄われるのを聞くと、月とか花とか風とかいう言葉には関西のアクセントそのままのものが残っている。

例えば、関東の方では「花」という言葉にしても、「は」よりも「な」の方を上げて発音し、関西の方は「は」よりも「な」の方を下げて発音する。そして、唄われる場合に「はー」と「は」を引張って「はーな」とか「つーき」とかそういう風に唄われるので、アクセントのことなどと一向気にならずに、花なら花の気分が出るように思われる。

このほか、国々によって、婦人の声の出し方が違う。これは自分だけの感じか知らぬが、東北の方の寒い地方へ行くと、人々はあまり口を開かずに声を発する。また、極く南の暖かい方へ行くと、口を開いて話し、更に南洋の方へ行くと、裸体で生活しているように、どこか声に締りがないような気がする。