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「しんりしけん」じょ
心理試験
小酒井 不木
小酒井不木『心理試験』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「心理試験」序、外務大臣の死、国枝史郎氏の人物と作品、ヂュパンとカリング、二重人格者、ポオとルヴェル、歴史的探偵小説の興味、誤った鑑定、安死術、恐ろしき贈物、怪談綺談、稀有の犯罪、体格検査、被尾行者、変な恋、「マリー・ロオジェ事件」の研究。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,338 字 · 197 页
オルチー夫人はその点をねらって、歴史的探偵小説に大成功をしたと言い得よう。いう迄もなくフランス大革命の際、貴族たちは人民政府の命によって片っ端から、断頭台上に送られた。その可憐の貴族を英国の貴族サー・パーシー・ブレークネーが、厳重に警戒されたパリーから、巧みに救い出して英国へ連れてくるのであるから、事件そのものが既に面白い所へ、如何にして人民政府の眼を眩ますかが興味の中心となり、あまつさえ背景がフランス大革命時代のパリーと来ているのであるから、所謂三拍子揃った訳である。ブレークネーは常識の活用と、チャンスの利用とによって、どんな六ヶ敷い関門をも打ち開き、少しも超自然的の力を借りない。そこが「紅はこべ」叢書の生命である。――いや、うっかりオルチー夫人の話になってしまったが、「半七捕物帳」になると、実在の半七その人が「偶然」即ち神の力を多く借りた人であるだけ、それだけ探偵そのものの興味は薄いかもしれぬが、その背景たる江戸の雰囲気とそれを写す綺堂氏の霊筆とは、それを償ってあまりがある。
日本には欧米に於ける程沢山のすぐれた探偵小説家がないようであって、日本人の現代の生活振りが探偵小説の題材となるに適せぬという人もあるが、現代を背景としないで、過去を舞台としたならば、非常に面白い作品が出来るだろうと思われる。