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しんれいさつじんじけん
心霊殺人事件
「別冊小説新潮 第八巻第一四号(創作二十二人集)」1954(昭和29)年10月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,557 字 · 52 页
茂手木はプイとソッポをむいて、つまらないことを云うなとばかり、タバコの煙をプウプウふいた。
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奇術は二階の十五畳の座敷。着席して九太夫はおどろいた。
床の間を残して全部暗幕をおろしているのは当然だが、天井まで暗幕でおおうている。下はジュウタンを二重にしきつめているのである。
これではどんなカラクリでもできるではないか。天井の暗幕の上からも、ジュウタンの下からもコードやヒモの細工ができる。このように暗幕とジュウタンで完全なトーチカをつくるのはもっぱらその本拠ないし同類の邸内でやる時で、見知らぬ出張先ではこれほどのことはやらない。むしろ、やれないのである。なぜなら本拠や同類の家とちがって、見知らぬ依頼者の家ではいろいろと仕掛けを改められる怖れがあるからだ。
その代り、このように暗幕のトーチカをつくれば、相当の荒芸がやれる。たとえばユーレイをだすこともできるし、テーブルやピアノなぞを空中へ浮きあがらせることもできる。しかしそれにはそれだけの仕掛けがいるから、改められればバレるのである。
部屋の中央にまるいテーブルがあった。しかし術者はそのテーブルに坐るのではなく、床の間とならんでボックスがあるのだ。