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しんれいさつじんじけん
心霊殺人事件
「別冊小説新潮 第八巻第一四号(創作二十二人集)」1954(昭和29)年10月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,557 字 · 52 页
このことを知るに及んで後閑サンは大喜びしたのでしょうね。そこでさっそく心霊術師を呼び寄せるべき理由をあれこれと考えて、まず戦死したはずの長男が幽霊になって出てきたと云いふらしたのです。幽霊といろいろの話をしたが孫の名と女の名と、住所だけききもらした。そこで心霊術師にたのんで霊のお告げを示してもらう必要があると云って、ついに心霊術師をよびよせる段どりまで漕ぎつけたわけです。大和の吉田八十松と手紙で往復して日取りも定まった。そこで後閑サンは大和へ急行して例の大荷物を造り、大和の吉田八十松より熱海の吉田八十松宛に発送したわけです。吉田八十松の大荷物ならあの地方では誰に怪しまれる心配もありません。宅送ですから駅止めよりもおくれて、ずッと前にだしたのが土曜の午ごろ、吉田八十松が熱海へ来てから着いてしまった。これは失敗でした。しかし荷物はとにかく到着し、凄い見幕で八十松を怒りつけて荷物をまきあげ奥の部屋へ運びこんだのですから、ビルマの孫の一件はそれで役がすんだわけです。ですから、ビルマの孫の一件の方を後廻しにして、実験会の方を先にやるようなノンビリした気持になったわけで、ビルマの一件に重大な意味があるなら何をおいてもビルマのお告げの方を先にすべきではありませんか。