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あやしのやかた

怪しの館 短編

国枝 史郎

国枝史郎『怪しの館 短編』。同一底本的分册已合并为一书。收入:怪しの館、一枚絵の女、犬神娘、開運の鼓、猿ヶ京片耳伝説、日置流系図、北斎と幽霊。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,915 字 · 165 页

青空文庫

……いや実際あの連中と来ては、飯より人殺しが好物なので」

「それはそうと花垣殿」ニヤニヤ笑いながら美男の武士へ、こういったのは薄あばたのある武士、「報酬に間違いはありますまいな」

すると花垣と呼ばれた武士は――その名は志津馬というのであったが、さも呑み込んだというように、ポンとばかりに胸を打った。「大丈夫だよ、安心するがいい」

「これはそうなくてはなりますまいて。濡れ手で粟のつかみ取り――という次第でございますからな」

「その代わりこいつが失敗すると」花垣志津馬不安そうである。「あべこべに相手にしてやられる」

「だからわれわれを鞭撻し、十分にお働かせなさるがよろしい」ちょっと凄味を見せたのは、指の欠けている武士であった。

「というのはどういう意味なのかな?」

ちゃアんと分っておりながら、知らないように志津馬がいう。

「いただきたいもので、前祝いを」

「酒はさっきから飲んでいるではないか」

こういいながら花垣志津馬は飲み散らした杯盤を眺めやった。

と、ハッハッという笑声が、三人の口から同時に出た。

「酒も黄金の色ではあるが、ちと、その、どうも水っぽくてな」

「チャリンチャリンと音のするやつを」