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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

「じゃあ、海水のはいらないようにしておけばいいのに」

「そうはいきません。どうしても金属壁の隙間から浸みこんで来ます。さあ、帆村さん、はやくマスクをかえしてください」

「うん、マスクはここにある」

といって、帆村はようやく怪塔王のマスクをさしだしました。

「ああ、私は手をしばられているから、マスクをかぶれやしません。紐をほどいてください。ああ、手がいたい」

4

怪塔王にマスクをかえしてやったのはいいが、怪塔王は両手を帆村のためうしろにしばられているためマスクがかぶれないから、紐をほどいてくれというのです。

帆村はそれをきいて、つよくかぶりをふりました。

「いや、だめだ。しばってある貴様の手をほどいたりすれば、貴様はどんなにおそろしいことをやるかしれない」

「ああいた、いたい」

と、怪塔王はしきりに身もだえをします。そんなに両手が紐にくいしめられていたいのでしょうか。

「それほどいたくもないくせに、いたいいたいなどとおどかすなよ」

「いえ、ほんとにいたいのだ。ああいたい」

「いくらいたくても、僕はけっしてほどいてやらないぞ。じゃあマスクは、ぼくが貴様の顔にはめてやろう」