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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

そうです、この壁には、どうしたものか、塔の入口と同じ光景がうつっていて、その前に、帆村探偵と一彦とがうろうろしているのがうつっています。まるで映画がうつっているようにも見え、また魔法の鏡がかかっているようにも見えます。なにしろ塔の下の入口の光景が、このように塔の階上の室で見えるのですからね。

「あっはっはっ。まだ諦めよらんな。それでは一つおどかしてくれるか」

そういいながら、怪塔王は机の上から長い管のついたマイクロフォンをとりあげて、口のそばに持っていくと、

「おいおい、なぜうちのまわりをうろうろしているんだ。ははあ、鍵穴をのぞいたな。変なまねをしていると、今に頭の上から、毒ガスをぶっかけるぞ」

帆村と一彦の頭の上からふってきたのは、それは破鐘のような大きな声でした。

「これはかなわん。おい一彦君、はやく逃げるんだ」

と、帆村探偵はふだんにも似ず、弱音をはいて逃げだしました。

「あっはっはっ、ざまを見ろ」

怪塔王は、なおもからからと笑いつづけます。

怪塔王とは一体何者でしょうか。しかしとにかくこの怪塔に、おどろくべき最新科学による仕掛がしてあることは確です。