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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页
と、怪塔王は、あわてて床の上にしゃがむと、帆村の手から例の汐ふきの顔をしたマスクをひったくりました。そしてそのマスクを目の前にさしあげ、さも感心したという風に、
「ふうん、実にうまく出来ているマスクだわい。こんないいマスクはないねえ。なにしろ顔にぴたりとあう。そして笑えばこのマスクも一しょに笑う。また怒れば怒ったで、このマスクもまた一しょに怒る。これをつけていれば、マスクをつけているとは誰もおもわないほどうまくできている」
と言って、マスクをあげて頭からすっぽりかぶりました。そのとき怪塔王は、自分で覆面をさらりと脱いだので、その下から大問題の素顔があらわれたはずですが。――
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怪塔王は、自分の顔をつつんでいた風呂敷をぱらりと解きましたから、そのときたしかに下から怪塔王の素顔があらわれたはずです。
ですが、たいへん残念ながら、このとき折角の怪塔王の素顔を、誰も見たものがありません。なぜって、帆村探偵は気絶して床の上にたおれていますし、三人の黒人は鉄の円筒のなかに小さくなってふるえていました。そのほか誰もその場のありさまを見ているものがなかったのです。