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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页
ぴしんという音は、たしかに海水が怪塔のガスの原料室の一つにしみこみ、大切な原料をおかしはじめたもの音らしいです。それがだんだんすすむと、やがてはおそろしい大爆発となって、怪塔がこなごなになるであろうことは、わかりすぎるほどわかっていました。
ですから怪塔王は、ガスの原料を海水がおかさないように、かねてそなえつけてあった強い酸性の薬をはきださせて海水のはたらきをとどめたのです。さいわい、それがうまく利いて、気味のわるいぴしんという音は、それっきりきこえなくなりました。とはいうものの、いつまたどこから海水がしみこんでこないとはいえません。あぶないあぶない。
2
怪塔が海水中にながくつかっていたため、いまや大心配のときが来たのです。一度は、怪塔王がみずからハンドルをとって、たかい薬をつかっておし鎮めましたけれど、いつまた、いや、そういっているうちにも、どんなひどい爆発がおこるかもしれません。
怪塔王は、もうこの上は、ただの一秒もぐずぐずしているときではないと思いました。
さいわい怪塔王は、帆村探偵からうばいかえしたマスクをかぶって、いつもの怪塔王になりすましていましたから、これなら黒人も安心していうことをきくだろうとおもいました。