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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

がんばり方が足りないぞ」

「そうじゃないんです。がんばっていますが、エンジンが言うことを聞いてくれません。まだ参るには早いのだが、変ですね」

「そうか、さては――」

と、小浜兵曹長は気がついて、怪塔ロケットの方を睨みつけました。まさしくあの怪塔ロケットから出す例の怪力線が、こっちのエンジンの息の音をとめようとしているらしい。

さっそく危険信号が、小浜兵曹長の手によって、本隊へむけ発せられました。

「怪塔ロケットの発する怪力線によって、エンジンがとまりそうだ。これ以上の追跡は、あるいはむずかしいと思う」

すると本隊の方から、折かえして入電がありました。

「あと三十分、がんばれ。こっちでも、救援隊を手配しているところだ」

あと三十分がんばれ! エンジンのこの調子ではその三十分が、うまくもつかしら。

奇計

1

あと三十分がんばれ!

怪塔ロケットを追う青江機の上で、偵察士の小浜兵曹長は歯がみをしました。

青江三空曹の、人間わざとは見えないがんばりぶりにもかかわらず、エンジンの調子は、重病人の眼のようにわるくなるのでありました。

(怪塔ロケットにせっかく追いついたのに、このままでは、ぐんぐん遅れてひきはなされてしまう)