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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

そこで彼は身動きもせず、じっと天井の方に油断なく気をくばっていました。

その時でありました。

「はっはっはっはっ」

と、とつぜん破鐘のような笑い声が、頭の上から響いて来ました。

兵曹長は、はっと息をのみました。

「はっはっはっはっ。ふふん、やっぱり貴様だったのか。わしのロケットを執念ぶかくどこまでも追いかけて来た飛行機のりだな。なんだ、変な顔をするな。ははあ、わしがどこから見ているかわからんので、びっくりしているのだろう。あははは、こっちからは、貴様のそのぐるぐる目玉が大見えじゃ」

という声は、正しく怪塔王です!

3

怪塔王のしわがれ声は、天井裏からうすきみわるくひびいて来ます。声はきこえますが、怪塔王の姿はふしぎにも見えません。

小浜兵曹長は、傷のいたみもわすれて、怪塔王の声のする方をじっと睨みつけていました。怪塔王は、これから何をしようというのでありましょうか。

「あははは、そんな恐しい顔をしても、もう駄目だよ。この牢獄へはいったが最後、二度と外へは出られないのだ。このへんで、すこし早目にお念仏でもとなえておくがいい」

怪塔王のいうことは、あいかわらず憎々しいことばかりです。