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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

「おい怪塔王、僕は、じつをいうと、怪塔王とは大利根博士の化けたのではないかとおもっていた。しかるに、マスクをとったところを見て、僕の考がちがっていたことがはっきりわかった」

といって、帆村はちょっと唇を噛んで、

「――で、僕はここに、怪塔王からぜひとも返答をもとめたい一事がある」

「えっ、それは何じゃ」

「それは大利根博士の行方だ。博士はいま、どこに居られるか、すぐそれを教えたまえ」

「そんなことは知らん」

「知らんとはいわせない。怪塔王が博士邸へ押入ったことはわかっているんだぞ。博士の上着が遺され、それに血が一ぱいついていたこともわかっている。大科学者を、君はどこへ連れていったのか。博士はまだ生きているのか、それとも君が殺したか。それを知らないとはいわせないぞ」

帆村は、怪塔王の胸もとをつかんばかりの、はげしい剣幕でつめよった。

怪塔王は、しばらく口をもごもごさせていたが、やがて決心したらしく、

「大利根博士の行方を、それほど知りたいか。ではやむを得ない。これから案内して、博士をお前たちに、ひきわたそう」

「えっ、博士を渡してくれるか。すると博士は、この島にいられるのか」