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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页
一声高く、怪塔王が叫ぶとみるや、彼の姿は岩のわれ目の中に消えた。
「あっ、逃げた!」
帆村と兵曹長とは、すぐさまその後を追おうとしたが、そのとき二人は、岩のわれ目の向こうが深い谷になっているのに気がつき、はっと身を縮めた。
ぎゃーっ。
そのとき、谷底から、魂消るような悲鳴がきこえて来た。二人はそれは谷底におちて岩角に頭をうちつけたらしい怪塔王の最期の声であると知った。
「おお、あれは――」
「うん、怪塔王の自滅だ」
帆村探偵と小浜兵曹長は、おもわず双方からよって、手と手をしっかり握りあわせた。
4
怪塔王は、ついに自滅したようです。
帆村探偵と小浜兵曹長とは、この快報を一刻もはやく秘密艦隊へ知らせたいとおもいました。
それを知らせるには、今のところただ一つの方法しかありません。それは目下故障のまま白骨島の砂上に「えんこ」をしている怪塔ロケット第一号の無電装置をつかうことでありました。なかなか忙しいことです。
怪塔王のほろんだ岩窟を、そのまま後にするのは、たいへん心のこりでありました。なんだか、怪塔王がその辺から血まみれになって、匐上って来るような気がしてなりませんでした。