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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页
おそらく彼の体は、海中へ注ぐ潮に流されていくうち、狭くなった水路のところに出ている岩のうえに押しあげられたものでありましょう。どこまでも運のいい帆村探偵でありました。
こうして一命は助りましたが、荒潮にもまれ流れているうちに、彼の体は幾度となくかたい岩にぶつかったため、全身はずきずきとはげしい痛みに襲われ、どうしても立ちあがることができません。残念ですが、しばらくなおるのを待つこととし、そのまま岩の上に長く寝そべっていました。すると、いろいろなことが思いだされてきました。
(小浜兵曹長はどうしたかなあ)
彼は、兵曹長の身の上が心配になってきました。
(あの大利根博士という人物は、一体ほんとうの大利根博士なのだろうか。怪塔王みたいな声に聞えたが、あれはどうしたわけだろうか)
なにもかも不思議というより外はありませんでした。
(しかし世の中に、どんな不思議があるといっても、解けない不思議というものがあろうはずはないのだ。頭をはたらかせさえすれば、その不思議は必ず解けるにちがいないのだ!)
帆村のこの元気を、神様もよろこばれたのか、そのとき帆村の頭に、なにかぐにゃりとしたものが、ぶっつかりました。