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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

「おや、これはいけない」

と、つづいてまた一発!

しかし怪塔王はつづいてにやにや笑っているばかりです。

三発目を、帆村が撃とうとすると、怪塔王は手をあげてとめました。

「これ、無駄にたまをつかうなよ」

「なにっ!」

「なにもかにもないよ。ほら見るがいい、貴様のうったピストルのたまは、こんなところに宙ぶらりんになっているじゃないか」

そういって怪塔王は、寝床の上から長い指を帆村の方にむけました。

はじめのうちは、帆村には、何のことやら、さっぱりわけがわかりませんでしたが、よくよく怪塔王の指さしたところを見ると、なるほど奇怪にも二発の弾丸がまさしく宙ぶらりんになっています。それはちょうど、帆村と怪塔王との向きあった真中のところです。二発の弾丸は下にもおちず、お行儀よく頭をそろえて向こうを向いているではありませんか。

「おじさん、怪塔王は魔法をつかっているのだよ」

と、一彦が早口で帆村にささやきました。

「あっはっはっ、そのちんぴら小僧は魔術といったな。魔術なんて下品なものではない。これこそ、わしの得意とする磁力術じゃ」

磁力術? 磁力術とはなんのことでしょう。