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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

塩田大尉の顔はだんだんと紅くなってきました。そのうちに、反対に顔がさっと蒼ざめてまいりました。

大尉は、拳をかためると、欄干をとんと叩きました。

「これあ不思議だ。小浜、お前のいうとおりだ。たしかにあの塔が見えなくなった」

「やっぱり私の申しましたとおりでしょう」

「うむ、これはたしかに一大事だ。あの塔が見えなくなったとすると、あそこを調べにいった帆村探偵は一体どうなったのだろう」

4

九十九里浜に立っていた怪塔が、わずか一夜のうちに、かげも形もなくなってしまったというのですから、これには塩田大尉もすっかりおどろいてしまいました。

「これはすぐ偵察しなきゃならない。兵曹長、すぐ陸戦隊を用意しろ」

兵曹長は、はっと挙手の敬礼をして駈けだしました。やがて集合を命ずる号笛の音が、ぴぴーぃと聞えました。

やがて一隊の陸戦隊員が、白いゲートル姿もりりしく、甲板へかけあがって来ました。

「気をつけ、番号!」

銃剣をしっかり握って、水兵さんたちはさっと整列しました。

塩田大尉はその前に進み出て、

「これから上陸して偵察任務を行う。場合によれば戦闘をするからその覚悟でいけ」