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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

一階にいた帆村探偵も一彦少年もこのものすごい物音には、胆をつぶしてしまいました。まわりの壁は、まるで金槌で叩いているかのように、がんがん鳴っています。足の下の床もびりびりびりと気味わるく震動いたします。

「おじさん、これはなんの音だろうね」

「さあ、よくわからないけれど、なんだか地べたの中で、さかんに爆発しているようだね」

「地震じゃないかしら」

「うん、地震とはちがうさ。怪塔王は、軍艦から砲撃されると聞いて、逃げだすつもりらしいのだ。してみればこの怪塔をなんとかうごかすつもりなのだろう」

「どんな風に動かすの」

「さあ、それは――」

といっているところへ、床が壁もろともいきなりぐぐーっともちあがりました。

と、思ううちに、またどーんと下へおちました。

二人はとてもそこに立っていられないので、腹ばいになりました。

どどーん、どどーんと室は四度、五度とあがったりさがったりしているうちに、一段と高い音をたてるとともに、ひゅーっと上の方にとびだしました。

「あっ、とびだした」

「うむ、やったな――」

帆村と一彦は、いいあわせたように跳ねおきると、かたわらの小さな窓の鉄枠につかまって、一生けんめいに窓のそとをのぞきました。