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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页
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行方不明の怪塔が、いきなりロケット機に早がわりをして天空にとびだしたのですから、これには誰しもおどろきました。
なかでも一番おどろかされたのは、ちょうどあの時、現場ちかくの砂地を一生懸命にしらべていた軍艦淡路の陸戦隊員でありました。
それまでは、平な砂浜としか見えなかった大地から、ごうごうばしゃんと大音をたて、いきなり怪塔に翼を生やしたロケットがとびだしたのですから、これは、いかに戦闘にめざましい手柄をたてる皇軍勇士であっても、驚かないではいられません。
隊長の塩田大尉さえ、
「おおっ、ありゃ何だ!」
と叫んだきり、しばらくは天空によじのぼってゆく怪塔ロケットをただ惘然とながめつくしたことでした。
「立ちうち! 構え!」
大尉はやっとわれにかえって号令を下しました。だが、今さらうしろから撃ってみても、どうにもならぬことを知ると、大尉はついに撃方はじめを命じませんでした。
それに代って、信号兵がえらばれ、本艦との間にさかんに手旗信号が交されました。本艦でも、まったく不意うちのありさまで、甲板にいた水兵さんたちも、あれよあれよと、ロケットの出すガスの尾を見まもるばかりでしたが、この時勇ましい爆音が艦上に聞えると思う間もなく、二台の艦載機が、カタパルトの力でさっと空中にとびだしました。