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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

怪塔は、はたして檻の中の鷲のようになったでしょうか。なにしろ相手は鉄片をそばによせつけないという、不思議な力のある怪塔ですぞ。

怪塔王のさがしもの

1

怪塔王は、塔の三階の室内を、あっちへはしりこっちへかけだし、そして机のひきだしをあけたり、蒲団をまくったりして、しきりになにかを探していました。

「ないぞ、ないぞ。どこへいったのだろうか」

怪塔王が顔をあげたところをみますと、きょうはどうしたわけか、頭の上からすっぽりとくろい風呂敷のようなものをかぶっています。つまり顔を、くろい風呂敷で包んでいるのです。怪しい怪塔王は、いよいよもって怪しいことになりました。

「ないぞ、ないぞ。一体どこへいった」

と、怪塔王は、きょろきょろあたりをふりかえってみました。

「やっぱりない。変だなあ」

怪塔のまわりは爆弾と銃丸とですっかり囲まれてしまっているのに、彼は一向そんなことには心配しないで、なにかしら「ないぞ、ないぞ」といってくろい風呂敷を頭からかぶってさわいでいるのでありました。なにかたいへんなことが起ったらしいのです。

そのとき、電話の呼びだしのベルが、けたたましくなりだしました。