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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

わしの命令だ。そむいた奴は、あとで魂を火あぶりにするぞ」

そう言う声は、怪塔王とそっくりでありました。

「おやおや、先生はそこに立っているのに、三階からも先生の声がするぞ」

黒人は、びっくり仰天です。

「こうら、はやく横須賀へやれ。わしのこの顔が見えないとでもいうのか」

と、室内の怪塔王はどなります。

「へえへ、それでは横須賀へ――」

と黒人は頭をさげながら、心の中に、

(はて、この先生の顔はどう見ても先生にちがいないが、言葉つきがすこしちがっているような気がするぞ。しかし先生と顔がおなじ人が二人あるとは思われない。なんだかこれはわからなくなったぞ)

そう思っているところへ、頭の上から、

「こうら、ジャンにケンにポンよ。わしの声がわからないか。お前たちの前にいるのは、にせ者のわしだぞ。言うことを聞いてはいけない」

「えっ、それでは――」

と、三人の黒人は目をくるくるさせて天井を見あげたり、室内の怪塔王の顔をながめたり。

「わしがここにいて、命令をしているのに、お前たちはなにをさわいでいるのか」

と、室内の怪塔王は不機嫌です。

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顔の怪塔王と声の怪塔王!