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かいきじんぞうとう

怪奇人造島

寺島 柾史

「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页

青空文庫

「おーい」

といっても返事がない。

「しっかりしろ」

振りかえって叫んだが、もはや、姿も見えなかった。虎丸は何処と、顔をあげてみたが、もうそれも僕の視野から消え失せてしまった。

僕は、只一人、浮袋に身を托して、涯しない洋上を、浪に漂わねばならないのだ。

二 抹香鯨と人造島

海の怪物

その夜半。真暗な洋上で、僕は、何物かに、頭をコツンと叩かれたような気がして、はッ! として、失いかけていた意識を、取返すことができた。

「おや! 何だろう」

手探りに、四辺を探ると、怪物は、ふたたび僕の頭をコツンと叩いた。

「畜生! 誰だ」

が、手に触れたものは、変に冷たい、大きな、妙に不気味な怪物だった。

「岩礁かな」

とおもったが、撫で廻してみると、いやにつべつべした代物だ。

「動物のような感じだぞ」

だが、動物にしては、これはまた、変に茫漠として大きい。

「何でもいい。気力を失って、凍死しかかっている僕の頭を、コツンと叩いて意識をかえしてくれた怪物は、僕の生命の恩人だ。ありがとう」

僕は、心からそう感謝して、怪物の肌を撫で廻した。すると、それは海の怪物海馬か、海象か、鯨といった感じである。