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かいきじんぞうとう
怪奇人造島
寺島 柾史
「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页
僕も、感激の涙を流して、陳君の手を固く握りしめた。
怪老人と老博士。これもまた、感激に身を顫わしながら、手を握り合った。
「あなたは世界最大の科学者です」これは老博士だ。
「ありがとう」白衣の怪老人は、少年のように、羞かんで応えた。
「あなたを、亡霊とおもったのは、われわれの不明でした」
「いや、亡霊であるかもしれない。何故なら、この船は、足を失った死の船だからねえ」
「そうだ、死の船!」
「わしは、人間の心臓を取替えることが出来、死んだ人間を生き還らせることさえ出来るが、死んだ船を蘇生さすことは出来なかったよ。ハハハハハ」
なるほど、この偉れた生理学者は、黒船の心臓を生かすことは出来ないのだ。僕は、
「博士、あなたは、人造島をつくった方です。人造島の心臓部の設計をしたぐらいですから、この黒船の故障を直せるでしょうね」
と、老博士にいうと、陳君は、それを引取って、
「そうだ。この船の心臓部の故障を直していただくと、僕は機関士、山路君に運転士、たちまち船を動かして、一路、日本の横浜へ直航が出来ますぜ」
怪老人も、肯いた。
「なるほど。人間の心臓の手入れは、わしの得意とするところじゃが、船の心臓の手入れは、博士におねがいするとしよう」