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あしのうら

怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像

蘭 郁二郎

蘭郁二郎『怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像』。同一底本的分册已合并为一书。收入:足の裏、穴、息を止める男、腐った蜉蝣、幻聴、孤独、舌打する、植物人間、蝕眠譜、自殺、鉄路、脳波操縦士、古傷、鱗粉。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 页

青空文庫

それで考えた末、あの結論になった訳だけれど、わかってみれば子供だましみたいなもんだね――。ただ草叢と黒っぽい縞のカムフラージと、夜は低地の見きわめがつかぬ、という、それだけのことさ、――これに比べれば海岸開きの日の殺人の方がよっぽど巧妙だったよ』

『畔柳さん、トリックの巧拙ということは、必ずしもその犯罪の難易に正比例するもんじゃない、ということがはじめてわかったですよ――、殊に実際の事件では』

春生も、感慨深そうに、副院長を見上げた。そして、

『いよいよ山鹿十介が犯人と決まった訳ですね、こっちが三人なら大丈夫でしょう。これから行ってみましょう――』

畔柳博士は、しばらく頸をかしげていたが、

『よかろう――』

そういうと、三人は意気軒昂と夜道をいそいだ。

――あの最初の、そもそも最初から怪しいと思っていた山鹿十介が、いよいよ犯人だ、と決定されたのだ。鷺太郎は、素人の感も馬鹿にはならぬ、と聊さか得意で、先頭に立って歩いていた。

だが、山鹿の別荘は人の気配一つしなかった。電燈は全部消し去られ、いくら呼鈴を押しても、とうとう返事を得ることが出来なかった。

『畔柳さん、山鹿は逃げたんじゃないでしょうか』