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あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
蘭郁二郎『怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像』。同一底本的分册已合并为一书。收入:足の裏、穴、息を止める男、腐った蜉蝣、幻聴、孤独、舌打する、植物人間、蝕眠譜、自殺、鉄路、脳波操縦士、古傷、鱗粉。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 页
鷺太郎は、折角犯人がわかりながら、それをとり遁がしたのではないか、と思うと、歯を喰縛った。
『いや、そんな筈はない』
畔柳博士は、何か自信あり気に呟いた。
『明日、来よう――』
七
その翌日も、ゆうべの星空が予言したように、雲一つない快晴であった。
鷺太郎は朝早く飛起きると、看護婦たちを手伝わして、蝶だの蛾だのを、洋菓子の箱一杯につかまえ込んだ。
胴の太さが親指ほどもあろうか、と思われるような蛾や、大小各種様々な蝶が、合計二十匹ほども集められた。
『どうするんだい』
と訝かし気に訊く春生に、
『山鹿への御土産さ……』
と鷺太郎はにやにやしながら答えた。山鹿のふるえ上る様を想像して、心中快哉を叫んでいたのである。
やがて、畔柳博士は仕事を済ますと、三人連れだって、道をいそいだ。
心配していた山鹿は、幸い在宅しているらしく、呼鈴を押すと婆やが出て来た。兼ねて打合せたように、鷺太郎を残すと二人は物かげにかくれた。
『白藤ですが――。山鹿さんいましたら遊びに来たといって下さい』
わざと、洋菓子の箱を見せつけるように、持ちかえていった。
『はあ、少々おまち下さいませ』