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あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
蘭郁二郎『怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像』。同一底本的分册已合并为一书。收入:足の裏、穴、息を止める男、腐った蜉蝣、幻聴、孤独、舌打する、植物人間、蝕眠譜、自殺、鉄路、脳波操縦士、古傷、鱗粉。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 页
沼はなかなかの広さと得体の知れぬ深さをもっているように思われた。しかも、念のためポケットに捻込んで置いた地図を引張り出して見たのだが、どうしたことか、最初の分れ道の辺から二時間ぐらいの間に迷ったと思われるあたりをいくら探して見ても、一向に沼のあるような印はつけられていないのだ。
尠くとも、今迄は相当に微細な小径まで符合していた地図が、この沼に限ってそれを全然落している、というのも可怪しなことだった。――或は、この沼は、地図が測量された以後に、多量の雨水が溜って出来たのかも知れないが、それにしても測量の時までは沼となる痕跡すらもなかったらしいのは奇妙である。
川島は、其処の倒れた松に腰かけて一ぷくしながら、緑いゼリーのような、地図に無い沼を見下していたが、やがて煙草を棄てて水際までおりて行った。
思ったより広い沼だった。ざっとした目分量では五百坪ぐらいもあるように思われた。そして水際まで降りて行っても、水の底は見えなかった。びっしりと緑い絨毯を敷詰めたように微生物が水の表面を覆っているのだ。その上四方は鬱蒼とした森を持った崖が迫っていて、これだけの広さだのに、輝くような日光の直射を受けているのは、沼のほぼ中央の、ほんの一部分だった。