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こいをこいするひと
恋を恋する人
国木田 独歩
「中央公論」1907(明治40)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,195 字 · 17 页
二
」
「それは又?」
「どういうものか折合が善くありませんで。」
「それは善くない。」
「それで今日来たのも、又何か持上ったのでしょう。」
「それでは早く行く方が可い。……」
「なに、どうせ二晩三晩は宿泊のですから急がないでも可いのです。」と平気で盤に向っているので、紳士もその気になり何時かお正の問題は忘れて了っている。
浴室では神崎、朝田の二人が、今夜の討論会は大友が加わるので一倍、春子さんを驚かすだろうと語り合って楽しんで居る。
二
箱根細工の店では大友が種々の談話の末、やっとお正の事に及んで
「それじゃア此二月に嫁入したのだね、随分遅い方だね。」
「まア遅いほうでしょうね。貴下は何時ごろお正さんを御存知で御座います?」
「左様サ、お正さんが二十位の時だろう、四年前の事だ、だからお正さんは二十四の春嫁いたというものだ。」
「全く左様で御座います。」と女主人は言って、急に声をひそめて、「処が可哀そうに余り面白く行かないとか大ぶん紛糾があるようで御座います。お正さんは二十四でも未だ若い盛で御座いますが、旦那は五十幾歳とかで、二度目だそうで御座いますから無理も御座いませんよ。