轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きょうふのくちぶえ

恐怖の口笛

海野 十三

「富士」1934(昭和9)年8月号~11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 60,713 字 · 122 页

青空文庫

一郎はジュリアを元の席に坐らせたが、美しい女王は昂奮に慄えていた。

「これは貴女の耳飾りから落ちた石でしょう。これは僕が拾って持っていたのです、警官や探偵などに知れると面倒な品物です。お土産として、貴女にお返しします」

ジュリアは一郎に悪意のないのを認めたらしく、急いで青い宝石を掌の中に握ってしまうと、激しい感情を圧え切れなかったものか、ワッといって化粧机の上に泣き崩れた。それにしても一郎は落ちた耳飾の宝石を何時何処で拾って来たのだろう。

「ジュリアさん。云って聞かせて下さい。貴女は四郎と日比谷公園の五月躑躅の陰で会っていたのでしょう」

「……」ジュリアは泣くのを停めた。

「僕はそれを察しています。つまり耳飾りの落ちていた場所から分ったのですが」

「これはどこに落ちていたのでしょう」とジュリアは顔をあげて叫んだ。

「それは四郎の倒れていた草叢の中からです」

「嘘ですわ。あたしは随分探したんですけれど、見当りませんでしたわ」

「それが土の中に入っていたのですよ。多勢の人の靴に踏まれて入ったものでしょう」

「まあ、そうでしたの。……よかったわ」

それはすべて一郎の嘘だった。