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おんし

恩師

佐々木 邦

「現代」1926(大正15)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,714 字 · 14 页

青空文庫

私達はこの男の話で中の模様を略※(二の字点、1-2-22)想像した。

「英語で答えるのかい?」

「然うさ」

「はてな、貿易差額ってのは英語で何といったっけな?」

と考え込んだ清水君が折から四番目に呼び出された。三番目は早目に帰って来て、

「いけねえ/\。まるで会話の試験だ」

と呟いた。

「初めは会話だよ」

と二番目の男が言った。

「電話をかけさせたかい?」

「いゝや」

「僕には卓上電話機を突きつけて、小石川の千二百三十四番を呼び出してくれと言うんだ。もし/\とやると、英語でと注意した。弱ったよ。もし/\が分らない。苦し紛れに if, if, if, if とやらかしたら給仕まで笑いやがったよ」

と三番は忌々しがった。

十二三番あたりが浜口君だった。私は成功を願って成る可く長かれと祈っていた。好い塩梅に十分以上かゝった。

「君」

と浜口君は戻るや否や私を招いた。

「何うだったい?」

「君の先生だよ、試験官は」

「え?」

「先刻廊下で会った人だよ」

「ふうむ。それじゃ僕は駄目だ」

と私はもう覚悟を極めた。

「もとの先生だから却って有望かも知れない」

「いや、僕はあの頃級長だったからストライキの張本人と思われている」