轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あくりょう
悪霊
江戸川 乱歩
「新青年」博文館、1933(昭和8)年11月~1934(昭和9)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,980 字 · 67 页
頬も鼻も口も顎も、どれがどれだかまるで区別がなくて、無数の深い横皺が刻まれているに過ぎなかった。鼻は低くて短かくて幾段にも横皺で畳まれていて、普通の人間の鼻の三分の一の長さもない様に見えたし、鼻の下には幾本かの襞になった横皺があるばかりで、すぐに羽をむしった鶏の様な喉になっていた。無論その横皺の一つが口なのだけれど、どれが口に当るのか見分けがつかない程であった。つまりこの乞食の顔は、我々とはまるで逆であって、目から下の全体の面積が、額の三分の一にも足りないのだ。これは肉が痩せて皮膚がたるんだのと、上下の歯が全くない為に、顔の下半面が、提灯を押しつぶした様に縮んでしまったものに違いなかった。君が若しアルコール漬けになった月足らずの胎児を見た経験があるなら、それを今思い出してくれればいいのだ。髪の毛の全く生えていない、白っぽくて皺くちゃのあの胎児の顔をそのまま大きくすれば、丁度この乞食の顔になる。皮膚の色は、君は恐らく渋紙色を想像するであろうが、案外そうではなくて、若し皺を引き伸ばしたら、僕なんかの顔色よりも白くて美しいのではないかと思われる程であった。