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あくまのでし

悪魔の弟子

浜尾 四郎

「新青年」1929(昭和4)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,202 字 · 51 页

青空文庫

そうして遂にすえ子の家を訪れたのでした。美しい、可愛いすえ子にあう為に。すえ子の家の前に来たのは、もう夜の七時頃だったでしょう。私はのみ過ぎた酒の為に、稍蹌踉蹣跚として歩いていたわけです。

すえ子の家の前まで来ますと私は異様な状態に気が付きました。いつもなら至極閑散であるべきあたりに自動車が停っています。そうして大勢の人々が其処に動いていました。

私ははじめ、それがすえ子の家を取りまいているとは気がつかなかったのです。然しいよいよ彼女の家の所に来た時、大勢の人々がその家を取りまいている事を見い出しました。

私はぎょっとしました。何かしら胸を打ちます。何事か起ったのです。私は格子の前に集まっている人々をつきのけて中に入ろうと試みました。

私が丁度、入口の格子戸の所に来た時、中から背広を着た男と、巡査らしい制服を着た人とが話しながら出て来ました。私は其の時、背広をきた人が相手に云った言葉をはっきりとおぼえています。

「実に無茶だ。過失だか自殺だか、そりゃあんた方が調べる役だろうが、ともかくあんな強い薬を、罎に入れたまま側においてのむなんて、実に無茶だ。