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あいか

愛か

李 光洙

「白金学報 第一九号」1909(明治42)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,381 字 · 11 页

青空文庫

とは彼の日記の一節である。彼は操に逢えば、帝王の席にでも出されたように顔も上げられぬ、口も利けぬ、極めて冷淡の風を装うのが常である、彼はまたこの理由をも知らぬ、ただ本能的なのである、それで彼は筆を口に代えた。三日前に彼は指を切って血書を送った。

一学期の試験も済み、明日帰国もするので、必死の勇を奮うて今晩彼は操を訪問したのである。

彼は無感覚に歩を移しつつ考えているのである。ああ死にたくなった、モウこの世に居たくない、玉川電車の線路か、早十一時――、モウ電車は通うまい、ヨシ汽車がある、轟々たる音一度轟けば我はすでにこの世に居ないのだ。我も自殺を卑んだ一人である、自殺の記事を見てはいつも唾し罵った一人である。しかるに今になっては、我自身が自殺しようとする、妙ではないか。我は大いなる理想を抱いていた、これを遂げることが出来ずに死ぬのは実に残念だ、我れ死んだら老いたる祖父や幼ない妹はいかに歎くであろう、しかしこの瞬間に於いて我が死を止めてくれる者がないから仕方がないのだ。今や死すると生きるとは全く我が力以外にあるのである。

彼は渋谷の踏切さして急いだ。