轻松读懂日语经典作品
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あいのために
愛の為めに
甲賀 三郎
「探偵文藝 第2巻第4号」奎運社、1926(大正15)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,919 字 · 24 页
三月程前からすっかり職に離れて終ったのだ。一生懸命に倹約しくして、やっと手つかずに残して置いたいくらかの貯えも、もうあと二月とは保たないのだった。それで私は毎日就職口を探して歩いていたのである。でも父に詫びると云う事はどうしても私の意地が許さなかった。こんな情けない有様を父に見られるのは死ぬより辛い。こんな事情で警察へ訴える事は、どうしても出来なかった。
と云って同じような理由で、新聞広告も出来なかった。私立探偵となると、費用はよし後に先方で出して呉れるとした所で、いつ先方の知れる事が当がなかった。
私達は可愛い赤ン坊を間に置いて当惑した。
どうしよう、どうしようと云いながら二三日経ってしまった。いろいろのものを赤ン坊の為めに買い調えねばならなかった。親の方では随分探しているだろうと思って、新聞社の前へ行ったり、隣のを借りたりして、新聞の広告には残らず眼を通したが、それらしいものはなかった。もしやと思って、呉服店の前へも二三度行って見たが、駄目だった。
でも赤ン坊は障りなく育って行った。もう大分馴れて、私達の顔を見るとニコニコ笑う。それにつけてもほんとうの親達の心はどんなだろうと思うと、じっとしていられなかった。