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あいどくさっかについてのだんぺん
愛読作家についての断片
平林 初之輔
「新青年 第六巻第一〇号」1925(大正14)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,173 字 · 5 页
そこへ、もってきて、例のもっともらしい神秘化が行われるのだから、鼻につくこと一通りでありません。
とはいえ、コナン・ドイルは中々の学者であります。医者、人類学者、各種の収集家らが主人公になっている場合――ホームズその人が常にこれらを兼ねている共通の主人公であるが――氏の博識は、大抵の読者を驚かせるに足ると思います。
推理の算数的的確さと、それを潤飾する博識、これがコナン・ドイルのしんしょうであります。
ポーに至ると、闇の夜に鬼火を見るような物凄さがあるかと思うと、それと全く反対した、幾何学者のような一面もあるように思われますが、どういうものか、私にはそれが不自然でなく思われます。彼のアブノーマルはかえって自然な感じを与えます。彼が、「仮死」の講義を長々とはじめても、鼻につくようなことはなく、かえって愛嬌に思われますし、どんなに奇々怪々な物語を――たとえば「黒猫」とか「蛾」のような物語をかいても、やはり自然という印象を与えます。コナン・ドイルの神秘は理知で組み立てた神秘ですが、ポーの神秘は理知と融合しています。
けれども、私は、ポーの作品を、今日のレベルから見て、そんなに優れているとは思いません。